「30代の男性も「わずか2日で重症化」 第3波とは”全然違う”重圧の現場の現実 「救える命が救えない」 | 関西のニュース | ニュース | 関西テレビ放送 カンテレ」
新型コロナウイルスに感染し、重症化した30歳代の男性。<br>その治療にあたっていたのは、本来重症患者を受け入れるはずではない地域の病院でした。<br><br>救える命が救えないかもしれない。<br>最前線を取材すると医療従事者たちの苦悩が見えてきました。<br><br>【看護師】「酸素ボンベもらっていいですか?」<br>【看護師】「今、サチュレーション(酸素飽和度)いくつですか?」<br>【看護師】「90!!」<br><br>新型コロナウイルスに感染した30歳代の男性。<br>軽症・中等症の患者を受け入れる病院で治療を受けていました。<br><br>しかし、わずか2日で容体が急変。<br>人工心肺装置・エクモが必要になったのです。<br><br>【主治医】<br>「医療従事者自体も患者数と重症化のスピードにちょっとついていけてない」<br><br>堺市にある耳原総合病院。<br>第1波から新型コロナウイルスに感染した軽症・中等症の患者を受け入れてきました。<br><br>感染者の急拡大に対応するため、病院は、今週、内科の入院病棟をコロナ専用病棟に切り替える決断をしました。<br><br>【職員】<br>「お大事になさってください。お気を付けて」<br><br>他の医療への影響が出る決断。<br>それぞれの診療科の医師たちが集まりました。<br><br>【耳原総合病院・河原林正敏病院長】<br>「お願いがありまして、ベッドコントロール上、空床をもう少し確保しなければいけない。急がない入院に関しては延期していただく、予定の入院の方についてもなんとかそれぞれの病棟、それぞれ診療科で検討いただいて、各病棟一人から二人は入院を先延ばしにしていただきたい」<br><br>約400ある病床がいっぱいで、このままでは、救急患者を受け入れられない状態になっていたのです。<br><br>【石原昭三副病院長】<br>「今まで(救急患者を)ほとんど断らずに何でも受けていたけど、それをすると今の入院患者や救急機能を守れなくなる。この状況では、受けられない。断らざるを得ない。この間も急性アルコール中毒だけの若い人だが、どこも受け入れてもらえず、最終的にうちに来たけど亡くなられた」<br><br>――Q:到着した時には心肺停止状態?<br>【石原 副病院長】<br>「心肺停止で」<br><br>――Q:心肺停止で救急が受け入れられないとかあるんですか?<br>【石原 副病院長】<br>「受け入れられない病院は、今いっぱいある」<br><br>感染拡大の第4波で、病院を取り巻く環境は大きく変わりました。<br><br>【平井美香 看護師長】<br>「酸素化が悪いから、ステロイドパルスするといってて、パルスしても改善しなかったらエクモが必要になると」<br><br>――Q:重症の患者さん入院している?<br>【平井 看護師長】<br>「4床のうち3床入っています。あとひとつしか部屋はないので」<br><br>この病院では、これまでに治療にあたった患者が重症化することは、ほとんどありませんでした。<br><br>しかし、第4波では、人工呼吸器での管理が必要になるなど重症化した患者は、4月に入ってすでに4人。<br><br>これまで重症患者を受け入れていた地域の大きな病院も満床で、手に負えない患者でも、自分たちで治療しなくてはなりません。<br><br>【集中治療室の看護師】<br>「(第3波までと)全然違います。びっくりするくらい、こんなに挿管されている方がいっぱいくることはなかった。見たことなくって。4波になってから、挿管される人ばかりで、重症化がすごい進んでいる」<br><br>【集中治療室の看護師】<br>「仕事内容も一気にガラッと変わったので、ICU(集中治療室)に6年いるが、まったく新人のような感じ。<br>違うことがいろいろ増えたので」<br><br>重症となった患者の中に、30歳代の男性がいました。<br>入院先が見つからず、自宅療養中に、体調が悪化。<br>二日前に入院しました。<br><br>――Q:きのうまで話せてた?<br>【平井 看護師長】<br>「きのう挿管しました。ちょうど今の時間ぐらいに挿管したんです。24時間。きのうも最後お話ししました」<br><br>――Q:そんなに急激に悪くなるものなんですか?<br>【平井 看護師長】<br>「結構ぎりぎりまで家にいたみたいで来た時にはかなり悪かった。¥もしかしたらECMO治療が必要になる可能性が高い。当院ではECMOができないので」<br><br>恐れていた事態が起きました。<br>男性の容体が急変し、人工心肺装置・エクモでの治療が必要になったのです。<br>大阪府のフォローアップセンターに転院の調整を依頼しましたが、受け入れ先は見つかりませんでした。<br><br>【大矢亮 救急総合診療部長】<br>「エクモは回せないので、エクモ回さないといけないかもという人には、回せるところに交渉を(しなくてはいけない)。フォローアップセンターはもういっぱいいっぱいだと思うので、個別の病院交渉でなんとか(重症)患者の交換という形ででもお願いできないかなと交渉というかかお願いしたいと思う」<br><br>目の前の救える命が救えない。<br>最悪の事態が頭をよぎります。<br><br>【平井 看護師長】<br>「分かりました12時着で救急車は保健所が手配してくれると」<br><br>設備が整った大きな病院に転院できることになりました。<br><br>【看護師】<br>「救急隊来られました」<br><br>人工呼吸器をつけた患者の転院は、簡単ではありません。<br>一歩間違えば、容体が悪化する恐れもあります。<br><br>【看護師】「酸素ボンベもらっていいですか」<br>【医師】「行ける?入ろうか?」<br><br>感染した重症患者の転院は初めてのこと。<br>人工呼吸器を手動に切り替えたところ、うまく酸素が行き届きません。<br><br>【医師】「(酸素飽和度)なんぼなっているの今?」<br>【看護師】「サチュレーション(酸素飽和度)いくつ?」<br>【看護師】「90!」<br>【医師】「90以上あったら行っていいから!」<br><br>地域医療を壊し始めた新型コロナウイルス。<br>もし、転院先が見つからなければ、「救えたはずの命」が救えなかったかもしれません。<br>その重圧が、医療従事者たちを苦しめています。<br><br>【大矢亮 救急総合診療部長】<br>「第4波になって若い人も危ないとは聞いていたが、実際そうなるんかというのを目のあたりにしてものすごく怖かったですね。エクモが使える病院に送れなかったらどうしたらいいんだろうと思っていたので、本当に送れてほっとしている。若い方で重症になる人も確実に増えているので、若い方も気を付けてほしい」
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2021-04-24 11:32:55