「【現場から、新型コロナ危機】スウェーデンで見捨てられた高齢者|TBS NEWS」
シリーズ「コロナ危機」です。厳しいロックダウンを行わないなど独自の新型コロナウイルス対策を貫くスウェーデン。その一方で、多くの高齢者が治療さえ受けられずに亡くなっている実態を取材しました。 ジュリアナさんは、亡くなった叔父の写真を前に悔しさをにじませました。 「叔父が病院でちゃんと治療を受けられていれば、生きるチャンスはあったはずなのに」(叔父を亡くしたジュリアナさん) 認知症のため高齢者施設に入所していたジュリアナさんの叔父、モーゼスさん(72)は今年4月、新型コロナウイルスへの感染が確認され、4日後にそのまま施設で亡くなりました。 「医師は『持病のある高齢の感染者は病院で治療を受けられないことになっている』と。叔父が亡くなった時、私は何時間も泣いて眠れませんでした。でも次の日、『コロナだけのせいじゃない』と直感したんです」(ジュリアナさん) 「持続可能な対策をとるべき」として、厳しいロックダウンを一貫して行っていないスウェーデン。こうした政府の対策を市民のおよそ7割が支持しています。 「ヨーロッパの他の政府は愚かです。スウェーデン方式はもちろんリスクはあります。でも(ロックダウンしたことで)世界経済への悪影響は天文学的じゃないですか」(ストックホルム市民) しかし、死者およそ7300人のうち9割近くを高齢者が占めていて、特に高齢者施設での対策が不十分だったことは、政府の政策を主導してきたテグネル博士も認めています。 ジュリアナさんも、テレビ電話でモーゼスさんの様子を見た時、施設の感染対策の緩さに眼を疑ったといいます。 「全てが普段どおりでした。コロナなどないかのように職員はマスクも手袋もしていませんでした」(ジュリアナさん) さらに、施設側は家族に相談もなく緩和ケアに切り替え、モーゼスさんにモルヒネを打ちました。 「施設が緩和ケアをした理由は分かりません。でも叔父は生贄にされたんだと確信しています」(ジュリアナさん) これはモーゼスさんだけの話ではありません。 「施設がしっかり患者の状態を調べもせず、親族にも知らせずに緩和ケアの決定を行ったケースが多く見られました」(イングヴェ・グスタフソン教授〔高齢者医療が専門〕) ジュリアナさんは、スウェーデンの高齢者が見捨てられていることを知ってほしいと話します。 「最も腹立たしいのは政府は承知のうえで高齢者を犠牲にしていること。私の叔父だけでなく、多くの高齢者が同じように扱われているんです」(ジュリアナさん)
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2020-12-14 08:20:49