「倒れた猿|板倉俊之」

10月下旬、僕はハイエースを運転して、オートキャンプ場に向かっていた。  高速道路を降りて、現地のスーパーで買い出しをしたあと、のどかな田舎道を走る。  景色のいい場所に行って車中泊をするのが、近ごろの楽しみとなっていた。  よく晴れた日で、空は青く、日光を受けた山は鮮やかな緑色をしている。  その緑を分断するように延びる灰色の上を、心地いい速度で進んでいく。  信号機もほとんど見なくなり、田舎の風景に癒された僕は、すでに「来てよかった」と感じていた。  それを見たのは、小さな橋に差しかかったときだった。  橋の車道の端に、猿が倒れているのだ。  そのすぐそばには仲間の猿が一匹、呆然と

10月下旬、僕はハイエースを運転して、オートキャンプ場に向かっていた。 高速道路を降りて、現地のスーパーで買い出しをしたあと、のどかな田舎道を走る。 景色のいい場所に行って車中泊をするのが、近ごろの楽しみとなっていた。 よく晴れた日で、空は青く、日光を受けた山は鮮やかな緑色をしている。 その緑を分断するように延びる灰色の上を、心地いい速度で進んでいく。 信号機もほとんど見なくなり、田舎の風景に癒された僕は、すでに「来てよかった」と感じていた。 それを見たのは、小さな橋に差しかかったときだった。 橋の車道の端に、猿が倒れているのだ。 そのすぐそばには仲間の猿が一匹、呆然と

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2022-02-11 08:33:35

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